そもそも難聴とは。

難聴は、誰にでも起こりうるものです。聴力の衰えは30代から始まります。一般的に加齢性の難聴は、高い音から聞こえなくなっていき、会話の中ではとりわけ子音が聞き取りづらくなります。「さかな」と「たかな」、「しちじ」と「いちじ」などを聞き違えやすくなるのが典型的な症状です。

聴力の衰えは60代から70代にかけて、さらに加速します。しかも加齢による衰えは徐々に進むもののため、本人も気づかないうちに症状が悪化しがちです。そもそも巷では「耳も歳をとる」という認識が十分にはなく、足腰や目の衰えなどに比べ「見えにくい衰え」なのが難点です。つまり難聴者がどう困っているのかが理解されにくいという問題があります

テレビの音が大き過ぎるから一緒に観たくない。声をかけても返事が返ってこない。用件をよく聞き違えられる。同じことを何度も尋ねられる。聞こえに関するトラブルは、人間関係にまで悪影響を及ぼしかねません。自分の障害を自覚していない人には周囲も手助けしにくいもののため、補聴器へのアプローチは、聞こえの問題を自覚してもらうことから始まります。

聞こえの仕組み。

7000もの音階を聞き分ける。音の鳴る方向を感じとる。これら驚きの機能を有する耳は、非常に複雑な働きをしています。まず「外耳」は音を拾い、外耳道(いわゆる耳あな)を通じて、音を鼓膜へと届けます。続いて、音が鼓膜を振動させ、耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨という3つの小さな骨)によって振動を増幅するのが「中耳」です。耳小骨からの振動を蝸牛が電気信号へと変換し、聴神経によって脳へと伝えるのが「内耳」になります。

難聴の主な原因

聞こえの衰えは、高齢者だけの悩みではありません。近年では、コンサー卜ホールやクラブで音楽を楽しんだり、日常的にヘッドホンで大音量を耳にしたりする若年層の難聴が増えています。建設作業員や救急隊員、工場労働者なども、大きな音にさらされ続けているため、聴力にダメージを受けやすい傾向です。ほかにも病気や遺伝、原因不明の要因によって引き起こされるのが難聴です。世の中では、実に6人に1人が難聴だとも言われています

外耳や中耳の機能不全による聞こえの衰えであれば、投薬や手術で回復が見込めますが、難聴の80%は内耳の機能不全によって起こるため大幅に回復する可能性は高くありません。そこで衰えた内耳の機能の一部を補うのが補聴器になります

ご家族やご友人にも影響を与えるのが難聴です。

言いたいことが伝わらない。話しかけても返事がない。電話や呼び鈴に反応しない。聴力の衰えは、難聴者自身だけではなく、まわりの人たちにも影響を及ぼします。結果、人間関係に悪影響があることも珍しくはありません。これが仕事だと、指示内容が理解できず、トラブルにつながることも。ご家族やご友人が難聴に悩んでいたら、まずは耳鼻咽喉科聴力検査を受診するように勧めてください。難聴者自身が聞こえの衰えに気づかない場合も同様です。まわりが積極的に働きかけることが、良好なコミュニケーションを取り戻すための第一歩です

難聴者とのコミュニケーションの仕方を、身につけましょう。

難聴者と話すときは、静かな場所を選びましょう。なるべく正面から口もとを見せ、相手の顔を見ながら「ゆっくり」「はっきり」と話すことがポイント。聞き間違えやすい言葉は言い換える。話題を急に変えない。何の話をするのかを明確にする。こういったベーシックな配慮も有効です。なお、耳もとで大声で話しかけるのは御法度です